滑りには、志や生きざまが反映される《前編》| HAKASE from Diaspora Skateboards

No.005

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第5回目はDiaspora SkateboardsメンバーのひとりであるHAKASEさん。自身のスケートボードへの思いはもちろん、HAKASEさんが見据えるスケート界の将来、若手の育成、今後の展望など、《前・後編》の2部に渡って語ってもらった。


自分が活躍することで地元貢献ができれば。

— 正直にお話ししますと、スケーターカルチャーに興味はあるものの知識はほとんど皆無に等しく…。冒頭からだいぶ失礼な質問をぶつけてしまいますが、HAKASEさんは《diaspora》では何を担当されているんでしょうか?

僕は、言ったらそのままですけど、スケートボードで滑る役割です。《Diaspora》はアパレルブランドとしての認知も少なからずありますし、洋服を作っているブランドというイメージが強いとは思うんですけど、僕としては同じ地元の友達と始めたスケートのビデオを作る集まりっていう意識の方が強いですね。まあ、その集まりに《Diaspora》というクルー名がついた感じです。そこから、オリジナルのTシャツとかパーカーとか作ってみて、段々ショップにも置いてもらえるようなり、徐々に露出が増えてきているところです。とはいえ、デザインをしているやつも含め、メンバー全員がスケーターです。

GAPさんともコラボされていましたよね。

そうです。ありがたいことにそういうのが増えてきて。それでも、僕としてはアパレルブランドだとは思ってないんですけどね。

入口がアパレルからでも、《diaspora》という存在自体を知ってもらえるのはうれしいことじゃないですか?

いや、それはもちろんうれしいですよ!

ー 《diaspora》っていう名前はどこからきているんでしょうか?

僕も創立メンバーではあるんですが、名前のところは関与していなくて(笑)聞いた話にはなっちゃうんですけど、辞書で引くと『離散者』という言葉になるそうです。地元が長野なんですが、元居た場所から離れて東京で活動しているので、それが由来になっているみたいです。他にも意味はあるみたいなんですけどね。

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しっかりとした理由があるんですね。どのくらいの頻度で集まられているんですか?

最近はそれぞれの仕事が忙しくなってきちゃっているので、いつも一緒にいる感じではないですね。休みの日とかにタイミングを合わせて撮影に行ったり、集まったりすることはありますね。

本当に何も知らなくて申し訳ないのですが、スケート業界って、映像を制作して見てもらうことが主流なんですか?

うーん、大きく分けると2通りですね。競技としてのスケートと、僕たちのような感じと。ストリートでやっているとビデオを作ることも目的の1つになるので、それをリリースすると誰かが見てくれるんです。そこから有名な会社の目に留まり、スカウトされて、そのブランドのスケートチームに所属できたりすることもあります。でも今は、僕らみたいに自分たちでアパレルを立ち上げて、自分たちで発信していくことも全然できるので、スカウトされたいって思う人たちばかりではないかもしれません。

自分たちのクルーの認知度を上げていきたいとか、広く知ってもらいたい願望みたいなのはあるんですか?

単純に僕たちをもっと知ってほしいかと言われると、それよりも自分たちの地元の長野県をもうちょっと知ってもらいたいという気持ちのほうが強いです。長野県にもスケーターは居るのに、東京に出て活躍している人たちってなると途端に少なくて。スケートやっている人なら誰でも知っているであろう有名人が唯一2人だけいますが、ホントその2人だけ。地元あっての自分なので、そこで貢献できればって思っています。

将来的には長野県に帰りたいって気持ちもあるということですか?

いずれは帰りたいって思ってますね。

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僕たちが、スケートを始めるきっかけになれればうれしい。

ー HAKASEさんが思う長野の良さを教えてほしいです。

もちろん東京もいいですけど、やっぱり長野は自分が育った町ですし、自然が多く水も綺麗でおいしい。そんな水から作られる野菜や果物も最高です。全てを知り尽くしたわけでは全くないんですが、ある程度日本も海外も行ってみて、他と比べてみても良い町だなって思うんですよね。でも、東京に出れば長野ではできないことができる可能性があるよってことも、地元の子たちに知ってほしくて。なので、僕たちが東京で頑張っているところを見てほしいっていう想いがありますね。

長野県にもスケーターがいっぱいいらっしゃると言われてましたけど、東京はそもそも人が多いから、絶対数では敵わないイメージがありますが。

そうですね。東京は長野に比べるとスケーターも多いですし、レベルも高いです。なので、東京でそれなりに活動が認められるようになれば、長野の子達も「僕 / 私も頑張ろう」って思ってもらえるかなと考えていて。特に先輩たちには色々教えてもらったので、恩返しじゃないですけど、先輩たちみたいに教えてくれる人たちのおかげでここまでこられたってことも証明したいです。すでに「頑張ってるね」「いいね」って言ってくれる人もいてくれて、それは僕の中でエネルギーになってますね。

ー HAKASEさんたちがそうであったように、自分たちの背中を見て、下の子達にも続いてほしっていう気持ちがあるってことですね。

そういう気持ちが特に強いかもしれないです。こんなこと言うのはおこがましいですけど、僕らがスケートを始めるきっかけになれたらうれしいし、スケートと比べるとそこまでのこだわりはないんですが、立派にやっているんだなって思ってもらえるのであれば、1つのツールとしてアパレルがあるのは良いと思っています。

海外も視野に入れられてるんでしょうか?

昔はアメリカがスケートの本場だったので、向こうで活躍することが一種のステータスでしたが、今はアメリカで活躍することが上を目指すということとイコールではなくて。僕は日本のフィールドで、日本で育った自分たちのスタイルを見せていきたいと思っています。特に東京は道が狭いのに交通量が多く、条件がよくない。スケートカルチャーが根付いていないという意味も含め、本場のカリフォルニアとか、他の街と比べてもスケートボードがしづらい街なんです。でもそんな場所だからこそ「あえて」やっていきたいんですよね。

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どこでも滑れて楽しいのがスケボー。

ー  他のプロスポーツと同様に、プロスケーターになると常に試合に出場できるようになるんですか?

プロにも2タイプあります。海外の大会で入賞し、スポンサー制度を受けているプロスケーターの人たち。その人たちはスキルが全てと言っても過言ではないほど、高度な技術力を持っています。ファッション誌とかスケーター雑誌への露出が多いと、プロに間違われることもあるんですが、実のところは普通に仕事をしていたり、スケボーではいくらも稼いでなかったりする人が大半ですね。もう一方は協会に認められ、ライセンスを取得している人たちです。

どうやったらライセンスを発行してもらえるんですか?

協会が主催している大会で入賞をするとポイントがつくので、その年間ポイントが一定のラインを超えていればライセンスを発行してもらえます。でもライセンスを持っている全員が有名かというとそうではなく、誰も知らない人もいます。

プロって呼ばれるような人なのに、誰にも知られていないとか悲しいなぁ。

だから、ライセンスを持っているだけって感じになっちゃうんです。それこそ、中高生とかでもライセンスを取得している子はいますし。みんながみんなそういうわけではないですけど、プロスケーターのライセンスを持っている子は、ファッションとかカルチャー誌には出てこなくて。「僕、プロなんです!」って言われても、知らねーわってなっちゃうことが多いですね。世界的に認められているスケーターは、うまくてかっこいい滑りをするので、目指すべきところはやっぱりそういうスケートかなって思ってます。

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スキルだけではない表現力に通ずるかっこよさという解釈であっていますか?

そうですね。スキルがあるってことは、うまいことに間違いはなくて。高校生ぐらいの若い子で、毎回海外の大会で入賞している子がいるんですけど、その子は本当に上手です。海外クラスで考えてもめちゃくちゃうまい。それでお金も稼いでいるので、その子もプロといえばプロなんです。もう1人、「間違いなくプロスケーターだね」って言われるくらいの知名度の人がいるんですけど、その人は高校生の子の半分以下の数の技しかできないんです。でも、一つ一つの技のキレが尋常じゃないんですよ、誰にも真似できないようなくらい。スピードが速かったり、着地が完璧だったり、動きがしなやかだったり。高校生の子がやるより遥かにスタイリッシュなんです。

ー 高校生の子は競技としてのスケートで、もう1人の方は違うんですね。

大会ではジャッジが必ずいて、点数をつける。そうすると、芸術点につながるトリックを見せた方が勝てるんです。だからスケーターには技術メインの人たちと、スタイルで魅せるかっこよさを目指す人たちの2パターン存在してるんです。僕は後者になりたいですね。

ー ご自身が若い時のマインドセットはどちらだったんですか?プロになりたいからとにかくスキルを磨こう!というところは一度も通過せず?

うーん、もちろんスキルが高いに越したことはないと思うんですけど、スキルが高い子達って「3歳からやってます」みたいなエリートが多いんですよね。ずっと大会に出ていてみたいな。僕が始めた時には、年齢的にもそこを経由していくには遅すぎて、目指してもいなかったが正直なところです。僕としては単純にスケボーが楽しい。それに、どこでも滑れて楽しいのがスケボーだと思うんです。でも、やるからには毎日少しずつ技術を上げていきたいとはいつも考えてます。

ー もともと、技術を高める”だけ”を目標としてはやってきていないってことですね。

それだけではやってないですね。ある程度近づきたいっていうのはありましたし、できる限りのことをやって、1ページでもいいから雑誌に取り上げられたいとは思ってました(笑)そのためだけではないですけど、もっとうまくなりたいって思ってましたね、ずっと。

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HAKASE

Diaspora Skateboardsの創立メンバー。

長野県出身。現在は拠点を東京に移しDiaspora Skateboardsとして活動中。渋谷区・神南にあるMORTARのショップスタッフでもある。


オフィシャルサイト
http://diasporaskateboards.com/
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Mana Ohtake